御霊跡の 浜に流れ付き、氏子達によって尾鷲神社に宝物として納められた獅子頭は、大神等の導きを頂戴し、天下の奇祭と名高いヤーヤ祭りにも伝わる獅子出御の神事の吉凶占いや、悪魔祓いなどの縁起物として信奉され氏子達の崇敬の的となっている。
その古き尊き伝承伝統が氏子20町の中に代々受け継がれていき、現在でも獅子神楽舞・寄せ太鼓などが盛んに行われている。
故に東紀州地方で尾鷲は神楽の故郷と呼ばれている。
獅子頭は 、その材質、容姿から室町末期から桃山期にかけての作と推定されており、その威容胸にせまるものがあり、作風や獅子頭の推定時代から一時期、運慶作と伝えられていたが、証拠等が存在しないため現在では作者不明となっている。
近年までヤーヤ祭りで御出御してきたが、昭和43年3月22日に三重県の有形民俗文化財に指定されたこともあり、現在では尾鷲市出身の彫刻家の村田龍正氏が実物から型をおこし作成した獅子頭のレプリカがその代わりを努めている。(実物は本殿内に神宝として安置)
その縁起から、現在も祈祷などで太鼓を叩きながらおこなう御獅子祓いが伝えられている。